新年あけましておめでとうございます。
Footage訪問看護ステーション覚王山の水野です。
みなさん新年はいかがお過ごしだってでしょうか?
お正月は家族みんなでゆっくり過ごしてたくさん食べて少し太った〜なんて人もいるかもしれません。
今回は食事に関連した、最近話題になっている”断食”について看護師の視点から効果や注意点などをお話しできたらなと思っています。

断食について

断食の歴史

近年、健康や美容の分野で注目を集めているのが「断食」です。
断食は食事を制限または一時的に絶つことを指します。歴史を遡ると、断食は紀元前から行われていました。そのルーツは、宗教における修行の一環としての断食です。キリスト教、仏教、イスラム教、ヒンズー教など、さまざまな宗教が、邪念を祓うための精神修行として行われていたとされています。特に、現在でも有名なのは、イスラム教における「ラマダーン」ではないでしょうか。「ヒジュラ暦」と呼ばれる暦の第9月、およそ1か月間ほど、イスラム教徒の人々は断食をおこないます。自分の欲を制するため、自分の信仰心を深めるために断食は精神修行の一環として行われてきました。

人間は水分を3日経つと命の危険に関わると言われています。
そんなに長い期間、飲まず食わずで大丈夫?と思われるかもしれませんが、断食が行われるのは日の出から日没までの間。日が沈んでから翌朝までは、飲食しても大丈夫なんです。日が沈むと街は大勢の人々で賑わいます。またイスラム教のラマダンにはさまざまな断食のルールがあり、ラマダン期間中は、日の出から日没までの合間の飲食が禁止で、食べ物だけでなく水分の摂取も禁じられています。飲食のほかにも、 期間中の喫煙や性行為、投薬 (健康上支障をきたす場合は免除)、 けんか、悪口や不適切な言動などが禁止されています。ただしラマダンにも例外があり、 乳幼児は参加する必要はありません 。子どもは6~7歳頃になると、短時間からラマダンに参加し始め、少しずつ体を断食に慣らしていくのが一般的です。乳幼児以外にも、 重病人や高齢者、妊婦や授乳中、生理中の女性は断食を行わなくて構いません 。ただし、体調が回復次第、行います。

断食の効果

次に断食の効果を紹介していきます。

1. 体内修復とデトックス効果

断食中、身体はエネルギーを食物から得ることが難しくなり、その代わりに脂肪や老廃物をエネルギー源として利用し始めます。これにより、細胞の修復やデトックスが促進され、健康な細胞が再生されるとされています。最新の研究では断食をすることで癌細胞への栄養が絶たれることで発癌予防にもなると言われています。

2. インスリン感受性の向上

断食は血糖値の安定化に寄与し、インスリン感受性を向上させる効果があります。これにより、糖尿病の予防や改善につながる可能性があります。決まった一定の時間に食事を取ることが血糖変動の抑制に役立つかもしれないと最近の研究では示唆されています。

3. 脳機能の向上と認知症予防

一時的な断食が、脳機能を向上させ、認知症のリスクを低減する可能性が研究で示唆されています。脳が休息することで、神経細胞の保護や再生が促進されると考えられています。

4. 体重管理と代謝の改善

断食は体重管理に寄与するだけでなく、代謝を改善することが期待されます。一定の期間食事を制限することで、食物から摂取されるカロリーが減少し、脂肪燃焼が促進されるとされています。

断食の注意点

一見、効果がたくさんあるように見える断食ですがその一方で実施における注意点がありますのでいくつか紹介します。
また私も過去に実施したことがあるのでその経験談も交えて紹介していきます。以下に、断食を行う際に留意すべき主なポイントをまとめました。

1. 医師の指導を仰ぐ

まず最初に持病がある人は、断食を始める前に、医師と相談することが必要です。特に既存の健康状態や慢性疾患(代謝異常や糖尿病などの内分泌異常などの疾患)がある場合は、医師の指導のもとで計画を立てることが重要です。一般的にテレビなどで紹介されている断食は、インスリン分泌などの正常な体の生体反応が起こる前提で実施されているのもです。医師は個々の状態に基づいて、適切な断食プランや断食の時間を提案できます。また前述した通り断食をすることで血糖変動の抑制が可能となりインスリン感受性が向上すると記載しています。しかし、その一方で断食の実施によりエネルギー源としての炭水化物や糖が補給されなくなれば、身体は「緊急事態である」と判断し、脂肪を分解してエネルギーを作りはじめます。この際、ケトン体と呼ばれる物質が大量に発生するため、ケトアシドーシスを起こしてしまう恐れもあります。
また、低血糖や脱水症などの急性合併症を発症することも珍しくありません。重度の低血糖発作を起こせば、意識障害や昏睡に陥ります。そのまま命を落としてしまうケースもあります。

 

2. 適切な断食プランの選択

断食の方法はさまざまであり、16時間の断食(16/8法)や24時間の断食、断続的な断食、あるいは水断食などがあります。自分に合ったプランを選択し、それに従って行動することが大切です。また、断食は最初の8時間までは断食開始前に摂取した食事や体のエネルギーを消費しているためあまり空腹感などは感じませんが、8時間以降になると強い空腹やストレスを感じるようになります。生活の中で仕事や運動を多くする人はその分消費カロリーも多いため自分の生活のペースに合わせて適宜断食の中断を組み込むことも必要です。

実際に私が実施した断食の内容:16時間断食

昨年の夏に私はあるテレビ番組に影響を受けて16時間断食を2週間実施しました。
16時間断食(ファスティング)は1日24時間のうち8時間以内に食事を済ませて残りの16時間の間は固形物を食べない方法です。
その時のスケジュールは以下の通りでした。朝起きてまず水分(糖分は入っていないビタミンドリンクのようなもの)を摂り、固形物は一切取りませんでした。その後12時になったら昼食・15時ごろに間食・20時までに夕食というような形で食事をとっていました。

また断食期間の食事はなるべく血糖値が急激に上昇しないように昼食は、
豆類(大豆、豆腐、納豆など)、ゴマ、海藻類、野菜、魚(少量からスタート)、きのこ類、芋類のような消化の良いものを中心に食べて胃腸に負担をかけないようにしていました。

3. 水分補給の重要性

断食中は水分摂取が欠かせません。人間は3日間水分を取らないと命の危険に関わると言われています。そのため十分な水分を摂ることで脱水症状を予防し、代謝をサポートします。ハーブティーや炭酸水も選択肢に加え、水だけでなく栄養素も補給することが望ましいです。また断食の方法の中にも断食中は食事はダメだが水分補給はいつでもできるなどといった内容のものもあります。

4. 断食の頻度と期間

断食の頻度や期間は個人差があります。過度な断食は逆に体に負担をかける可能性があるため、無理なく続けることが大切です。また、長期間の断食を行う場合は特に慎重に計画し、医師のアドバイスを得ることが望ましいです。断食は慎重に行うことで健康へのプラスの影響が期待できますが、無理な実践はかえって逆効果となる可能性があるため、慎重かつ計画的に取り組むことが肝要です。断食には効果がある一方で、十分な知識や計画が必要です。無理な断食や偏った食事制限は逆効果となる可能性があります。また、特に持病を抱えている場合や妊娠中の女性は注意が必要です。

5. 個々の生活スタイルに合わせたアプローチが重要

断食の方法はさまざまで、人によって合う合わないがあります。16時間の断食(16:8法)や決まった日数だけ断食する方法などがあります。個々の生活スタイルや体調に合わせてアプローチを選ぶことが大切です。断食は正しい方法で行えば、身体と心に様々な良い影響をもたらす可能性があります。しかし、健康状態やライフスタイルによって異なるため、専門家のアドバイスを受けながら実践することが望ましいです。バランスの取れた食事と適度な運動とともに、断食を取り入れてより健康な生活を目指しましょう。

参考文献

・Johns Hopkins Medicine “Intermittent Fasting: What is it, and how does it work?”
(https://www.hopkinsmedicine.org/health/wellness-and-prevention/intermittent-fasting-what-is-it-and-how-does-it-work)

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