『Did you smile today?』
 今日も笑顔だったかい?

コラムを読んでくださっているみなさん、笑顔ですか?

笑顔に絶対的に必要なもの、それが心の余裕。
そんな心を医学的に専門特化したものが「精神科」です。
精神科については、医療者においても間違った認識を持っている方が多いです。

ぜひ、このコラムを読んで正しい「精神科」についての情報を手にして、自分の心の余裕を作りませんか?
心の余裕を広げて、笑顔を増やしてみませんか?


みなさん『精神科』と聞くと、どのようなイメージが湧きますか??

心の病? 怖い? 寂しい? なる人は少ない? 一生治らない?
そのようなイメージが多いのではないでしょうか。

実は、約5人に1人は一生涯で「精神疾患」になる可能性があります。
(精神障害ではなく、汎用されている精神疾患という言葉を使わせていただきます)
(出典:厚生労働省 地域包括ケアシステム精神保険医療福祉のデータ)

意外と多いなと感じられる方が多いのではないでしょうか。

精神疾患とは、決して心を病んでるのではなく、「脳」の病気/障害のことを言います。
なので、「気合や根性が足りないから」とか「霊的なもののせい」とかは関係ありません!!
昔は個人の気質のせいにされていましたが、もしそのような現場を見かけたらNO!と言ってもられると嬉しい限りです。
情報社会が進むにつれ患者数も多くなっている現状にあります。
誰もが精神疾患になる可能性だってあるのです。他人事ではありません。

精神疾患はうつ病のように治る病気も多くありますが、うつ病も含めて精神疾患の多くは病気/障害の原因が未だに明確になっておりません。
精神疾患の特徴として薬物治療のみでは治すことが難しかったり、日本の精神科の虐待や入院した後に退院に繋がらないなどの暗黒の歴史があったりするために、誤解も多い分野となっております。

実はそんな「精神疾患」、日本の5大疾病に認定されております。
5大疾病とは
「がん」、「脳卒中」、 「急性心筋梗塞」、「糖尿病」、「精神疾患」を言い、
死亡率が高く患者数も多いために、継続的な医療サービスの提供と各地域で医療機関の連携が必要と思われる疾病のことです。

つまり、国民病だから罹患者が多く、国をあげてなんとか対策しなければならない!! 医療サービスを増やそう!! と認定されています。
そう、とっても身近な病気なんですね。
そんな現状なのですが、精神科の情報が十分に伝わっておらず、どこかタブーとしていた国の背景があるために必要以上に怖がってしまいがちです。

なぜ精神疾患が注目されているか?

先ほど説明の様に患者数の多さも注目される1つの要素ですが、それだけではありません。
精神疾患に罹患するということは、社会活動も制限されてしまうことが多々あります。
つまり、仕事や学校を休まざるを得ない状況に陥ります。
仕事を療養休暇を取っている方、学校を休学されている方、もしくは辞められた方は、周囲にも少なくはないはずです。
また、罹患した方の人生に大きな影響を与えてしまうだけではなく、日本の経済、教育にも大きな損失が出てしまうのです。
そういった意味でも、精神疾患の予防、早期対応は喫緊の課題となっています。

さらに、精神疾患は直接死ぬということは少ないですが、最も恐ろしいのは「自殺」をするリスクが高まることです。
意外と身近に経験されている方も多いと思います。

みなさんもニュースで耳にした事と思いますが、COVID-19(いわゆる新型コロナウイルス)蔓延と時期が重なるように自殺者数が増えています。(出典:令和3年中における自殺の状況 厚生労働省自殺対策推進室 警察庁生活安全局生活安全企画課)

COVID-19による将来の不安等の精神疾患罹患から
リモートワークの機会が増え家にいる時間が増えたためにDV被害増加から
失職、アルコールの問題、ストレス過多なども考えられますね

また、自殺者の年齢層も若い方が増えています。
とても悲しいことです。


なぜ、自殺するのか?

世界保健機関(WHO)「Preventing Suicide: a global imperative」(2014)では、自殺で亡くなった人のうち精神障害のある人は90%であり、自殺関連行動と最も関連のある精神障害はうつ病とアルコール使用障害であるとしています。
自殺するくらいなら仕事をやめれば、学校をやめれば、良いのではないか?
それができないのが、精神疾患だからです。

みなさんが聞いたことがある「うつ病」を例にすると、
うつ病は抑うつ症状という「気分が落ち込む」「眠れない」「無価値観や罪責感」「希死念慮」などの症状がでます。
また、認知機能障害(脳の障害)として、注意力をいくつかに向けられない(忘れ物をするなど)、集中困難などの他人からは見えない症状がでます。
大事なことを忘れることを繰り返してしまう(注意障害)、さらに自分はダメだと自分を追い込む(無価値観)、挽回しようとするがうまくいかない(集中困難、抑うつ気分)、もう消えてしまいたい(希死念慮)という悪循環に陥ってしまいがちです。
このように、自分はダメでこの状況から抜け出せないなど思考が偏ってしまうことが多くあります。
これを心理的視野狭窄と呼び、うつ病にはよく見られる症状となります。
その場合、「仕事/学校を辞めれば」が思いつかず、『死んでしまえば会社/学校に行かなくていい』という解決策になってしまうことがあるのです。

決して、うつ病は簡単な病気ではありません。気合いでも治りません。
専門家の力が必要となります。
昔、「うつ病は心の風邪」というキャッチコピーが流行りましたが、風邪のように誰でも罹患する可能性はあっても、風邪のように薬を飲んで待てば治るという病気のイメージを持ってしまったかもしれません。
再発が多い疾患でもあるため、しっかり治すためにも受診をおすすめいたします。

 

専門家がいるのは、主に「心療内科」と「精神科」

この違いわかりにくいですよね。
自分はどっちに受診すればいいんだろう??と思いませんか。
違いを説明すると、
「心療内科」では心が体に影響を及ぼす心身症(ストレスから過呼吸や嘔吐など)を主な対象としています。
「精神科」では統合失調症やうつ病、双極性障害などの精神病圏の疾患が主な対象となります。
また「精神科」では精神病圏以外の神経症性障害や発達障害、認知症などを含め、基本的には全ての精神疾患の治療を行っています。
迷った際はどちらでも構いませんので、とりあえず医療につながることが大切です。

精神疾患は、薬を飲むだけでは治りませんので、長く付き合えそうな病院を選ぶことが大事なポイントです。
「自分に合った病院」を選択していきましょう。

精神科でも時代は変わり、入院よりも通院治療を可能な限り優先しています。
そのため、家で治療していくことが主体となってきます。
「診察時間が短すぎて困っていることを相談できていない」「通院までの間に相談する医療者がいない」など
通院治療を支えるためにも、訪問看護を利用している方々も増えています。

実際に、
仕事や学校終わりに訪問看護を利用したり、デイケアを利用できない休日に訪問看護を利用したりなど
その人の生活に組み合わせて利用することができます。

世間的に精神科への受診というのは、抵抗が多いようです。
精神疾患と診断されることで、自分自身にも間違った偏見を抱いてしまうとつらいことが多いですね。
事件があるとやたらめったら「精神鑑定」という言葉が飛び交うのは実によろしくないですよね。
メディアが精神科の知識が不十分すぎることを露呈されていますね。
海外では眠れなくなった際にも精神科に受診する方が多いですが、日本では市販薬やアルコールで誤魔化すことが多いようです。
世間体を気にせず、まずは自分や家族の健康を第一に考えて、信頼できそうな病院に受診してみてください。
メリットは多いはずです。


精神科訪問看護ではどういうことをしてくれるの?

気になる方は、こちらの説明をご覧ください
👉Footageの精神科訪問看護とは
この説明の一部で、精神科訪問看護の技術の棲み分けについて説明した図を載せますので、ご参照ください。

訪問看護の選び方については、弊社のブログもご参照ください。
(第5回まで更新していたのですが、HPリニューアルで消えてしまいました..反響があれば復活させます)
👉ステキな訪問看護ステーションの選び方①
👉ステキな訪問看護ステーションの選び方②



『Did you smile today?』

今日も笑顔だったかい?

精神科はあなたの笑顔を取り戻すための専門家です。
困った時は1人で耐えすぎず、受診をしてみてください。
困ったレベルは本当に小さなものでも良いです。
「食欲がない」「仕事/家事をする気力がない」「眠れない」「不安がおさまらない」
まずは連絡してみましょう!!

著者:田端恭兵
精神看護専門看護師 公認心理師 保健師
WRAPファシリテーター
Footage訪問看護ステーション守山  管理者